◎ 居住用財産の譲渡



マイホームを譲渡した場合の 譲渡所得税



● 「マイホームを譲渡した場合」 の ”課税の特例” の代表的なものとして、


(1)3000万円特別控除 (居住用財産を譲渡した場合の特別控除 <措置法35条>)

(2)軽減税率の特例 (居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例 <措置法31条の3>)  があります。

 ここでは この 「3000万円特別控除」 と 「軽減税率の特例」 を中心に説明します


居住用財産の 「3000万円特別控除」 と 「軽減税率」 の適用要件
措置法条文3000万円控除軽減税率の特例
(措法35条)(措法31条の3)
譲渡資産所有期間(制限なし)10年超 (注)
(建物 及び 敷地共10年超)
居住期間(制限なし)
取得原因(制限なし)
譲渡先親族その他特殊の関係ある者に対する譲渡は適用なし
  (配偶者や直系血族はダメ 兄弟姉妹は適用可)
買換資産(制限なし−買換え不要)
住宅ローン控除との
関係
これらの適用を受けると、 
  • 新しく買換えたマイホームについて
     「住宅借入金等特別控除」 の適用は受けられない


     先に、新しい住宅を取得し、「住宅借入金等特別控除」を
      受けた場合の対応は?
    (→会員のみ)

  • (注) (1) "相続又は贈与により取得した資産" の取得時期及び取得価額 は、
      被相続人 又は 贈与者の取得時期 及び 取得価額を引き継ぎます

      (2) 敷地のうちに所有期間の異なる部分がある時は、10年を超える部分
    のみがこの特例の対象となります
    (措法通達31の3−4)



    ◆ もう少し、具体的に詳しく 比較してみると
    適  用  要  件3000万円控除軽減税率
    居住用財産であること (非居住者もOK)
    国内に所在していること
    譲渡した年の1月1日における所有期間が10年を超えること  (所有期間は取得の日の翌日から起算)
    原則として、土地だけの譲渡ではないこと (※1)
    居住しなくなって3年経過した日の属する年の12月31日までの譲渡であること (※2)
    配偶者、直系血族、同族会社等、特殊関係者に譲渡していないこと
    前年、前々年において、既にこの特例の適用を受けていないこと  (3年に一度ならOK)
    その年において、他の居住用財産の特例の適用 (※3) を受けていないこと
    (※1) (1)家屋が災害により滅失した場合: 後、貸地として利用していても特例の適用有り 
    (2)家屋を任意に取壊した場合: 後、1年以内に譲渡契約を締結し、居住しなくなって3年以内の譲渡は特例の適用有り。取壊し後、貸地・駐車場などとして利用は特例の適用なし
    (※2)居住の用に供されなくなった後、家がある限り利用状況(貸家も可)を問わない
    (※3)<この軽減税率の適用> と <他の特例の適用> との重複適用は?


    サラリーマン等が転勤 ・出向等になった場合の扱いは?

    入院や老人ホームに入所した為、空家になった場合の扱いは?


    ※※@ 「3000万円控除」 と 「軽減税率」 の併用可
    ※※A 同一物件については、「3000万円控除」 と 「住宅借入金特別控除」 の適用可
    ※※B合計所得金額」 とは、3000万円控除の規定の適用がある場合には、その規定による控除前の所得金額をいいます
      (「配偶者(特別)控除」 や 「扶養控除」 の判定に影響します)


    この特例の適用で誤りの多い事例 (→)

    店舗併用住宅を譲渡した場合の計算は?(→)

    家屋の所有者と土地の所有者が異なる場合の特例 (→)



    「マイホーム売却益」 に対する ”所有期間別” の課税の特例 と 税 率
    所有期間特例適用の可否税      率
    3000万円
    特別控除
    軽減税率買換え特例
    5年以下××☆3000万円控除後の所得について

     所得税30%+住民税9%
    5年超××☆3000万円控除後の所得について

     所得税15%+住民税5%
    10年超×☆3000万円特別控除と軽減税率の
    重複適用可能


    <軽減税率の場合>
    ○6000万円以下の部分:
     所得税10%+住民税4%
    ○6000万円超の部分:
     所得税15%+住民税5%
    ××☆売った家より、買った家が高ければ
  • 税金はゼロ

    ☆逆の場合、差額について他の特例の
    併用不可

  • 差額について
     所得税15%+住民税5%

  • ☆ 添付書類は(→)



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    マイホームを売却された場合、ここに掲げる 「3000万円特別控除」 と 「軽減税率」 の特例は、最もよく使用される規定です。また、「住宅借入金特別控除」 との関係、「合計所得金額」 の意味及び、それが及ぼす影響も しっかり把握しておく必要があります



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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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